就職活動に不安を感じやすいと言われる発達障害。特性は様々ですが、なぜ環境によって「働きづらさ」が生じるのか。ここでは特性との向き合い方や、強みを活かした働き方の視点についてお話しします。
発達障害とは?
原因については研究が進んでいますが、先天的な脳機能の特性により、幼少期から発達の現れ方に偏りが生じるものとされています。ASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠如・多動性障害)、SLD(限局性学習症)等、人によって特性は異なり、周囲の理解不足や過度なストレスから、うつ病等の二次障害に発展する可能性もあります。
日常生活や仕事で見られる主な特性には、指示の理解に時間がかかる、集中力の維持が難しい、対人コミュニケーションに独特のスタイルがある等があり、複数の特性を併せ持つ方もいます。 学校の通知表で「落ち着きがない」と指摘された経験がある方もいるかもしれませんが、大人になっても特定の場面で集中が削がれたり、じっとしているのが苦手だったりする場合、発達障害の特性が関係している可能性があります。
近年は社会的な認知が広がり、適切な支援を求めて受診・診断に至るケースが増えています。文部科学省の調査でも、支援を必要とする児童生徒の割合は年々増加傾向にあり、適切なサポートの重要性が再認識されています。 これは決して安易に診断が下されているわけではなく、一昔前なら「個性の強い子」として見過ごされ、後に社会で孤立してしまっていたケースに対して、早期に適切な支援の手が届くようになったというポジティブな変化と言えるでしょう。
ASD(自閉症スペクトラム障害)
かつては自閉症やアスペルガー症候群など細かく分類されていましたが、現在はひとまとめに「ASD」と呼ばれます。「スペクトラム」とは連続体を意味し、特性の強弱や現れ方が人によってグラデーションのように繋がっているという考え方に基づいています。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の症状の主な特徴
・独自のこだわりを持ち、決められた順序ややり方を好む。そのため、急な予定変更や臨機応変な対応を求められると混乱しやすい。
・言葉の裏にある意図を汲み取ることが苦手で、冗談や比喩をそのまま受け取ってしまうことがある。
・場の状況や相手との距離感に合わせた言動をとることに、人一倍のエネルギーを必要とする。
こうした特性により、周囲からは「マイペース」や「独特の感性を持つ人」と見られることがあり、環境によっては孤立感を感じてしまうこともあります。
ADHD(注意欠如・多動性障害)
近年、大人になってから診断を受ける方が増えており、社会的な認知度も高い特性です。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の症状の主な特徴
・不注意によるミスや忘れ物が生じやすく、長時間のルーチンワークへの集中が難しい。
・考えたことがすぐ言葉に出る、あるいは直感的に行動する「衝動性」がある。
・じっとしているより動いていることを好み、整理整頓に苦手さを感じる「多動性」がある。
ASDと異なり、対人関係自体に抵抗がなくても、ミスの多さや「落ち着きがない」という評価から自信をなくし、二次障害を抱えてしまうケースも見られます。
SLD(限局性学習症)
全体的な知能に遅れはないものの、読み、書き、計算など特定の学習が極端に苦手な状態です。
読字障害(ディスレクシア)の症状の主な特徴
・文章を読むのに時間がかかる、行を読み飛ばす。
・文字を音に変換して理解することに負担を感じる。
書字障害(ディスグラフィア)の症状の主な特徴
・文字の形を整えることが難しい、鏡文字になる。
・書く動作自体に時間がかかり、内容に集中しづらい。
算数障害(ディスカリキュリア)の症状の主な特徴
・数字の概念や桁数の理解が難しい。
・計算式を組み立てることに困難を感じる。
これらは努力不足ではなく脳の特性によるものですが、幼少期に適切な支援を受けられなかった方は「努力が足りない」と誤解され、自信を喪失していることが少なくありません。成人後は、PCツールの活用や役割分担によって、これらの苦手な分野をカバーする働き方を選ぶことが重要です。
複数の発達障害や精神疾患が併存していることも
これらの特性は単独で現れるとは限りません。ASDとADHDの両方の特性を持つ方も多く、また周囲との摩擦によるストレスから二次障害(うつ病など)を併発している事例も多々あります。
そのため、支援の現場では「ADHDだからこうだ」と決めつけるのではなく、その方の性格やこれまでの経験も含めた「その人らしさ」を大切に見極めることが求められます。
発達障害の方の就職は難しい!?就職できない?就職に不利は本当か

学生時代は個人の能力で乗り越えられたことも、組織での「暗黙の了解」や多角的なコミュニケーションが求められる社会に出ると、特性による「生きづらさ」が表面化することがあります。理由がわからないまま職場で孤立し、自信を失って休養が必要になる方もいます。
また、採用側が特性を正しく理解していない場合、雇用をためらうケースがあるのも事実です。しかし、2024年の合理的配慮の義務化や、2026年現在の障害者雇用率の引き上げ(2.5%)といった法整備により、企業側の意識も「どうすれば共に働けるか」という方向へ大きくシフトしています。
確かに、以前のように「一人の人材に万能さ」を求める企業では難しいかもしれませんが、現在は特定のスキルを活かしたり、役割を分担したりする働き方が広がっています。
発達障害の方に向いてる仕事とは?

「適職」は障害の有無に関わらず重要ですが、発達障害の方は得意・不得意の差がはっきりしているため、より「強みを活かす」視点が成功の鍵となります。
例えばADHDの方は、興味のある分野では驚異的な集中力や創造性を発揮します。自分の特性(長所・短所)を客観的に把握し、短所を環境やツールで補い、長所が光る仕事を選ぶのが近道です。
ASD(自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群)の方に向いている仕事・適職
論理的思考や、正確さが求められる定型的な業務が得意な傾向にあります。
~例~
・データ入力、品質管理
・経理、法務、校正
・プログラマー、システムエンジニア
・マニュアルが完備されたコールセンター業務
ASD(自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群)の方が不向きな仕事
感情の機微を読み取る接客や、マニュアルのない臨機応変な判断が続く業務は負担が大きくなりがちです。
~例~
・営業(特に飛び込みや新規開拓)
・多忙な飲食店のホールスタッフ
・高度な感覚を共有するデザイン業務
これらはストレスの原因になりやすいため、まずは環境が整った職場を検討するのが安心です。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の方に向いている仕事・適職
変化に富んだ環境や、自分の裁量で動ける仕事に強みを持ちます。
~例~
・企画職、Webデザイナー
・専門性の高い研究・技術職
・フットワークの軽さを活かした営業職
刺激や変化がある環境の方が、集中力を高く維持できる場合があります。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の方に不向きな仕事
細かな数字の管理や、変化の乏しいルーチンワークは不注意を招きやすいです。
~例~
・経理、法務(チェック業務)
・厳密なルール厳守が求められるライン作業
・マルチタスクが必須の総務・秘書業務
これらは、ミスを防ぐための仕組み(リマインダーやチェックシート)を会社と共に構築できるかがポイントになります。
SLD(限局性学習症)の方に向いている仕事・適職
苦手な分野(読み書き、計算)を避ける、またはITツールで代用できる環境を選びます。
~例~
・画像や動画制作、クリエイティブ職
・音声入力を活用した事務職
・対人折衝や現場での実務
個別の特性に合わせて、テクノロジーを味方につける働き方が推奨されます。
LD(学習障害)の方に不向きな仕事
特定の情報の読み書きや、素早い暗算を日常的に繰り返す業務は、強い心理的負担になる場合があります。
~例~
・校正や校閲、細かな手書き伝票の処理
・複雑な数値チェックを伴うデータ管理
・レジ打ちや素早い計算が求められる窓口業務
これらは本人の努力だけではカバーしづらいため、デジタル化された環境や、役割分担ができる職場を選ぶことが大切です。
以上、特性別の傾向を紹介しましたが、これらはあくまで一例です。実際は複数の特性が混ざり合っているため、「自分はどういう時に困り、どういう時に力が発揮できるか」を整理することが最初の一歩です。自分一人で判断するのが難しい場合は、就労移行支援を活用するのも有効な選択肢です。
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