復職・リワーク

うつ病で休職する方法 | 退職までの流れやポイントについて

ここ近年で「うつ病」という症状も世間で定着するようになり、その理由で休職または退職する人も年々増加傾向にあります。

そこで本記事ではうつ病を患った場合の休職や退職を実行する方法を始め、その流れや退職後に向けての対策などにも迫ってみます。

うつ病の症状や特徴について

まずは、うつ病の症状や特徴について解説します。

うつ病とは

うつ病を簡単に一言で説明すると「脳のエネルギーが欠乏した病気」です。

発症すると憂鬱な気分になりながら人間の三大欲求(食欲、性欲、睡眠欲)の低下および身体的な自覚症状を起こす可能性も高いです。

皆様が身近に利用されているPCもメモリ不足やHDDの空き容量が不足することで処理が重くなったり壊れたりすることと同じように、人間もまた脳のエネルギーの欠乏を起こすことによって仕事や勉強を始め、日常生活を送るペースやスピードにも大きな支障が出てしまうのです。

うつ病の重症度について

ひと口に「うつ病」と言っても、その発症の仕方や症状は様々にあります。

そのような違いを大きく分類してみると「症状の現れ方」「重症度」「初発か再発か」「病型」の4つに分けられます。

まず、うつ病と対極的な病名である「躁病」もあります。

そのため、うつ症状が続く症状もあれば「双極性障害(躁うつ病)」となって、うつ状態と躁状態を繰り返すケースもあり得ます。

また、重症度も様々ですが大きく分けると「軽症」と「重症」に分類できます。

その2つの症状による大きな違いは「周囲から気づかれ易いか否か」です。

「軽症」の時点で仕事や日常生活に加えて他人とのコミュニケーションに障害が生じますが、この時点ではまだ自覚症状のみで留まり周囲から気づかれないことが多いです。

それに対して「重症」の方は周囲からも察せられたり気づかれたりするほど重い症状であり、仕事や日常生活にも大きな支障をきたします。

うつ病の特徴的な病名や分類について

うつ病の特徴的な病名として「メランコリー型」「非定型」「季節型」「産後」などに分類できますが、こちらもそれぞれ分けて解説してみます。

 

まず「メランコリー型」が”典型的なうつ病”と言われるタイプであり、仕事や責任、役割などへの適応を続けているうちに「脳のエネルギーが枯渇してしまう」というものです。

主な症状としては食欲不振や体重減少に加えて”朝起きた途端に気分が落ち込む”などが挙げられます。

 

「非定型」は良いことに対しては気分が良くなる一方での過食傾向や体重増加、過眠などメランコリー型とは対照的な症状が特徴的です。

一見はメランコリー型と違ってポジティブ思考と捉えられがちですが「他人(友人や同僚など)からの批判や悪口に対して過敏になってしまう」という特徴もあります。

「季節型」は特定の季節にうつ病を発症するものの、季節の変わり目に合わせて回復が見られやすい症状です。

また、女性特有の「産後のうつ病」もあり、これは出産を経てから4週間以内に発症しやすい傾向にあります。

ホルモンの変化や分娩の疲労から”子育てに対する不安”や”授乳による睡眠不足”に悩まされやすいです。

うつ病の主な症状とは

ここまでうつ病の重度や特徴的な症状について解説してきましたが、主要な症状は「楽しみや喜びを感じられないこと」と「気分が晴れないこと」の2つとなります。

普段の健康的な状態であれば楽しめることでも、うつ病にかかると楽しめなくなったり気分が晴れず「憂鬱な気分」が続いてしまうのです。

うつ病にかかる原因も多い

長年にわたる研究の結果、うつ病にかかるげんいんも症状や病名と同じように多いです。

それらの中でも特にかかりやすい原因として挙げられるのが「環境要因」と「性格傾向」の2つとなります。

まず「環境要因」は”大切な人(家族や恋人、友人など)との死別や離別”を始めとした人間関係や家庭内でのトラブルや突発的な変化が非常に多いですが、人間関係だけでなく”大切なもの(仕事や財産など)を失ったこと”も入ります。

一方「性格要因」とは完璧主義や仕事熱心、几帳面などの性格や思考により、脳のエネルギーが欠乏した状態を指します。

このようなエネルギー欠乏させながら成果を出せない状況が続くことでうつ病を発症する危険性も大きいのです。

うつ病で休職および退職する方法と実行できた場合の注意点

ここでは、うつ病を理由に休職および退職する方法を紹介しながら、実行できた場合の重要な注意点について解説します。

うつ病での休職および退職には証明できる診断書が必要

うつ病での休職や退職を会社側に申し出る場合、まずは担当医からの「診断書」が必要となります。

しかし、担当医の方も一度精神科や心療内科で受診しただけで易々と診断書を作成してくれるわけではありません。

 

先にも解説したとおり、うつ病にも様々な重度があり、担当医から軽度(本人が気をつけていれば、または薬などで仕事や日常生活も何とかこなせる)と診断された場合には休職や退職を勧められることまでは”無い”と思ってください。

 

それでも担当医の診断に反して、自身ではもう限界と感じている人も多いはずです。

そのため、精神科や心療内科にかかる場合、まずは「自分と相性が合う医師を見つけること」から始めなければいけません。

もしも、初めて受診した病院で出会った医師が自分と合わないと感じた場合には、無理に同じ病院や医師の診断を受け続けるのではなく、他の病院にも訪れて「自分と合う精神科医に出会うこと」が最初の重要な一歩となります。

この辺もお住まいの県や地域によって大きな格差が起きるはずです。

都心や首都圏であれば、多くの精神科や心療内科へ行くことも可能ですが、地方住まいの人にとっては「家の近くに精神科がない」という理由で行きたくても行けない、または自分と合う医師が見つからないという悩みに直面しているケースも多いと思います。

それでも本当に自身でうつ症状を感じている人達は、長時間にわたる移動時間を惜しまず、他県の精神科に頑張って通い続けている人も多いです。

受診開始から休職や退職までの期間も考慮しておく

自分と合う医師を見つけられた場合でも、一度目の受診だけで「うつ病と診断されること」や「診断書をもらえる」などというケースはごく稀です。

受診開始から診断書を作成してもらえる期間は最短でも1〜2ヶ月ほどはかかると思ってください。

自身では休職や退職に向けて動いているつもりでも、担当医の立場からすると患者のその後の生活や経済状況における責任も重くのしかかってくることになります。

そのため、まずは会社に通わせながら薬や受診で療養していくことでの完治や改善させていきたいと考える医師の方が多いわけです。

そのため、うつ病による休職や退職を決意した場合でも実現させられるまでには「数ヶ月間もかかる」と捉えた上で動き始めていくことも重要となります。

休職や退職は通過点 | その後の新たなステップに向けて

担当医から「うつ病と診断されたこと」により、休職や退職を実現できた場合でも大きな注意点があります。

それは休職や退職が、うつ病の療養や改善させるための「1つの通過点に過ぎない」ということです。

休職や退職から新たな仕事や会社に就くまでの期間は「無収入での生活になること」を意味しています。

本来は次に入れる会社や職場を見つけられてから休職や退職を実行するべきではありますが、重度のうつ病にかかった人の場合はそこまで機敏に動けなかった人も多いはずです。

そのため、休職期間や無職期間の中でも単に休養を取るだけではなく「休職や退職後につけそうな仕事」を見つけておくことも必要となります。

現在では病院や福祉施設を利用したそれぞれのリワークの方法があり、病院では基本的に”症状の回復と再発防止”を目的として体調管理やカウンセリング等の医療的ケアを中心に行なっています。

人によっては、これらのカウセリングなどを受けることにより、精神科や心療内科での担当医からは得られなかった答えや足掛かりが見つかるケースもあります。

また、福祉においても就労移行支援や自立訓練(生活訓練)などでリワーク支援を提供している施設もあり、そこでは”安定した日中活動のリハビリから仕事に必要なスキルの習得”といった社会生活から仕事のための支援・訓練を行なっています。

さらに企業との連携をはかっているため、再就職だけでなく復職者が自分の就いた会社で定着できるためのサポートまでしてくれます。

はたらた、ハローワークで開催されている職業訓練に出席してみることも良いでしょう。

さらにつけたすと、現在ではコロナ禍の影響で始まったテレワークやリモートワークに加えて、フリーランスとして在宅ワークで生計を立てられている人も多い時代です。

うつ病にかかった人達の中には「会社内での人間関係が原因」で発症している人も多いですが、フリーランスであれば、自分の症状や空いた時間に合わせて仕事をすることも可能です。

フリーランスで稼ぐこと自体は会社勤め以上に大変な面も多いですが、この時や期間中は無理して一度に多額の金額を稼ぐことでなく、あくまでも「”働く習慣を忘れない”又は”自分がこれからできそうな業種をみつけるための手段”」と捉えて始めることが自身の心の負担にかからず長く続けられるかと思います。

うつ病の治療や予後について

最後はおさらいの意味も込めて、うつ病の治療や予後について解説します。

うつ病の治療の主な種類と適正について

これまで解説してきたとおり、うつ病の治療法は主に「休養」「薬物療法」「精神療法」の3つです。

本来であれば「休養」と「薬物療法」のみで完治または改善できることが最も望ましいことです。

しかし、うつ病でかかる症状や重度、さらに原因も人によって様々であり、どうしても休養や薬物療法だけで解決できないケースのほうが多いのです。

そのために病院での受診や施設での自立支援など、自身が信頼できる人(医師など)と接する機会をもつことで完治や改善へつながるキッカケにもなります。

うつ病の予後 | 再発防止のために大切なこと

うつ病は完治や改善できた後も安心できるわけではなく、その後に再発するケースも珍しくはありません。

さらに、まだ治療中の期間で改善した後に悪化してしまうこともあります。

治療の期間には「急性期」「回復期」「再発予防期」と、大きく3つの期間に分けられています。

急性期が1〜3ヶ月、回復期が4〜6ヶ月、そして再発予防期が1年以上となります。

これらの期間も1つの目安に過ぎず、軽症の場合は上記の例よりも短い期間で再発予防期に入ることも可能となる人もいます。

一見は良いことのように捉えられがちですが、それは即ち「完治後に再発するスピードが早まってしまう」という可能性もあり得るということです。

ここまでの例を踏まえて重要なことが「うつ病が完治した後も療養をすぐに止めないこと」に尽きます。

この辺は患者と医師、どちらにも言えることですが、独断で薬や療養をやめてしまわず、完治や改善後もお互いに相談し合いながら今後の道(療法や通院ペースなど)を少しずつ変えながら、そして焦らずに方向転換しながら進んでいくことが非常に大切なのです。

まとめ

今回はうつ病の症状や特徴を紹介しながら、休職や退職を実行する方法や流れ等についても解説してみました。

実際にうつ病にかかり、休職や退職を行なった人、またはこれから実行に移そうと考えられている人に多いことが「休職や退職がゴールと考えてしまうこと」です。

確かにうつ病にかかり、仕事や通勤などへの限界を感じてしまうと、休職や退職のことばかり考えてしまいがちです。

しかし、それだけのために実行した場合にはその後の仕事や生活、そして長い人生への悪影響にも及び、結局は再発や悪化へと進んでしまうケースも多いです。

そのため、本記事で解説したとおり、休職中や退職後も職業訓練やカウンセリングを受ける等して「うつ病にかかった自分がこれから出来ること」を生み出しながら見極めていくことも非常に大切な要素となります。