ここ近年でよく聞かれるようになった「適応障害」という言葉に興味や関心を持ち始める人が増える一方、その症状で悩まされている人も多いのが現状です。
本記事では適応障害をもつ人が生活保護を受給する方法や手順について解説します。
また、相談できる支援機関も紹介していきます。
目次
適応障害の症状や原因、種類について
まずは適応障害の症状や原因、種類について簡単に紹介しておきます。
適応障害とは複数ある精神障害の1つであり「環境や状態に適応できないこと」と定義されています。
それにより「社会的機能が著しく障害されている状態」ということです。
そして原因としては「仕事や人間関係に対するストレス」が原因で発症してしまうのです。
さらに、適応障害の特徴は「精神面」「行動面」「体調面」と3つの種類に分けられています。
適応障害と生活保護の関係性で知っておくべきこと3選
一口に生活保護とは言っても、保障される内容や相談方法などは、その理由やご自身の置かれている状況などによっても複数の違いが生じてきます。
そのため、まずは適応障害をもつ人が生活保護を検討や相談をする前に、2つの関係性や重要なポイントについて知っておく必要があります。そのような内容は主に以下の3点です。
①詳しい人や頼れる人に相談すること
②公的サポートを受けることは正当な権利である
③まずは「生活保護以外の支援」から相談してみる
ここでは上記の3点について解説していきます。
①詳しい人や頼れる人に相談すること
生活保護を始めとしたサポートは、適応障害などで治療中のご自分1人だけで検討および申請することは、かなり難しい部分もあると思います。
そのため、まずは役所や福祉事務所の窓口、または主治医や職場の産業カウンセラー、精神保健福祉士、ハローワークなどに相談してみることが大切です。
そうすることによって、自分に必要なサポート内容の把握した上でサポートを得られていくと思います。
②公的サポートを受けることは正当な権利であ
生活保護を始めとした「公的なサポート」を受けることは正当な権利です。
とはいえ、世間的には現代でも生活保護を受けている人達に向けられる視線は冷たく、そのような負い目から受けるどころか相談に行くことすら躊躇してしまう人が多いのも現状です。
しかし、厚生労働省では「生活保護の申請は国民の権利です。(略)ためらわずにご相談ください」と伝えています。
そのため、何も恥ずかしいことではなく、遠慮する必要もありません。
そのような適切なサポートを受けることで安心して適応障害の治療に取り組める上、今後の復職や転職などによる「次の一歩」にも進みやすくなることもまた事実です。
③まずは「生活保護以外の支援」から相談してみる
生活保護とは、一般的には「『その他の公的な支援』などを利用してなお生活が困窮している方が受給できる」と定められています。
そのため、いきなり始めから生活保護を検討および相談するよりも先に、まずは「生活保護以外の支援」の方を優先的に行うようにしましょう。
生活保護の種類や条件、金額、注意点とは
基本的には適応障害をもつ人も、各条件などに当てはまっていれば、生活保護の申請および受給することは可能です。
ここでは、これから生活保護の相談や申請を実行する前に知っておくべきことを紹介していきます。
生活保護の概要・目的とは
まずは生活保護の概要や目的から掴むことから始めましょう。
厚生労働省では生活保護制度において「生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障すると共に、自立を助長することを目的としています」と定義しています。
それは「生活に必要な最低限度のお金を持つことが困難な方が、お金を受給できる制度」と解釈できます。
さらに支給の可否についても適応障害かどうかに関係なく「最低限の生活ができる状態かどうか」を基準に判断されています。
生活保護の受給金の種類について
生活保護で受給できるお金(受給金)には、以下の種類が挙げられます。
①生活扶助:食費、被服費、光熱費等
②住宅扶助:アパートなどの家賃
③教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
④医療扶助:医療サービスの費用
⑤介護扶助:介護サービスの費用
⑥出産扶助:出産費用
⑦生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
⑧葬祭扶助:葬祭費用
しかし、受給できる金額は地域や世帯の状況によって異なります。
そのような誤解を避けるためにも、金額での例までは提示されていません。
生活保護で支払いを減免されるもの
生活保護では受給金とは別に、以下のような「税金や公共料金の支払いが減免されること」もあります。
ここでは東京都足立区を例に紹介します。
①国民年金保険料
②住民税
③固定資産税
④NHK放送受信料
⑤上下水道基本料金
⑥都営住宅共益費
⑦住民票の写し等の発行手数料
⑧都営交通の無料乗車券の交付
減免される税金の種類も都道府県や地域によって異なる上、世帯の状況によっては必ず減免されるわけではありません。
生活保護の申請や受給前に行うこと
生活保護は「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮している人が受給できるもの」とされています。
そのような状況であると認められた場合にも生活保護を申請および受給する前には、次のようなことを検討および実行する必要があります。
「申請前にするべきこと」には、預貯金や生活に利用されていない土地および家屋なども売却し、それにより得たお金を生活費に充てることも求められます。
また、年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合、まずはそれらを活用すること、さらに親族などから援助を受けることができる場合は、援助を受けることも前提条件に挙げられます。
一方、働くことが可能な人には、その能力に応じて働くことが求められることもあります。
生活保護を受けるメリット
生活保護を受給することのメリットとは、やはり「金銭面での安定」を得られます。
そのような安定を手にすることで安心して適応障害の治療に取り組めるようになるはずです。
さらに主治医と相談しながら、今後の復職や転職などにおける社会復帰に対しても前向きになれると思います。
また、ご家族からのサポートを受けている場合には、生活保護を早めに申請および受給することで、ご家族に対する経済的かつ心理的の安定につながる点も大きなポイントです。
生活保護を受ける際のデメリットと注意点
これまではメリットばかりを解説してきましたが、生活保護を受ける際には、次のような注意点を把握しておくことも必要です。
①受給の前に、生活に利用されていない土地や家屋などを売却したお金を生活費に充てる必要がある
②受給中に収入や資産を得た際などには、福祉事務所や役所に申告する必要がある
③福祉事務所や役所の人の定期的な家庭訪問を受けなければならない
(生活の維持向上のための指導や指示があった場合は従う必要もある)
しかし、②と③は実はデメリットというわけでもありません。
確かに適応障害で療養中の人には対応が大変な場合もあるかもしれませんが、様々な支援者とつながっておくことにより、受給中に起きた新たな悩みなどの相談もしやすくなるはずです。
生活保護の相談や申請できる機関
生活保護の直接的な相談先や申請先は、主にお住まいの地域の「福祉事務所の生活保護担当課」となります。
※福祉事務所がない町村の場合は、町村役場の生活保護担当課となります。
生活保護の申請方法とは
ここでは生活保護の申請方法を手順も踏む形で紹介します。
①福祉事務所に相談する
②お住まいの地域の福祉事務所(ない地域では町村役場)の生活保護担当に相談する
③生活保護の申請
生活保護の決定のために家庭訪問や預貯金、保険不動産等の調査なども行われます。
また、状況に応じて適応障害の診断書を用意しておいた方がいい場合もあります。
④保護費の受給
申請が認められてから、受給開始です。
厚生労働大臣が定める基準に基づく最低生活費から収入(年金や就労収入等)を引いた額が毎月受給されます。
⑤毎月の収入申告
生活保護を受給中は、ご自身から収入の状況を毎月申告する義務が生じます。
また、福祉事務所のケースワーカーが年数回のペースで訪問調査を行います。
⑥就労の助言
働ける可能性のある人は、就職や労働についての助言を受けることもできます。
相談や実行に踏み切る前まではかなり複雑かつ手間のかかる手順に見られがちですが、福祉事務所の方が丁寧に説明してくれるため、少しずつ慣れながら覚えていきましょう。
また、生活保護を受給中に行わなければならないこと(毎月の収入申告など)も怠ってはいけません。
親族照会や適応障害の診断書について
上記の③で触れた診断書に加えて、親族照会が生じるケースもあります。
「親族照会」とは、実家から離れて暮らしている親族などに福祉事務所から直接連絡されるものであり、それが原因で「生活保護を申請したくない(または知られたくない)」という人も多いです。
しかし、厚生労働省は親族照会を実施するかどうかは「申請者本人の意思を尊重する」という趣旨の通知を出しています。
そのため、離れて暮らす親族に自分の望まない連絡はされないことが基本とされています。
それでも、市区町村によっては本人の意思に沿わない対応が行われることもあるのが現状のため、状況などによっては相談者や同席者に協力を求める方が望ましいこともあります。
また、生活保護を受給するためにはご自身の生活が困窮していることを証明する必要があります。
自分が「働けないために生活が困窮していること」を証明するため、適応障害の診断書があった方が認定に有利」と言われることもありますが、原則的には関係ないはずです。
しかし、地域や福祉事務所によっては「窓口の担当者によっては診断書の有無で対応が変わる」というのが現状です。
さらに、診断書の発行にも費用や手間がかかるため「本当に診断書が必要か?」という疑問を抱いた場合には早めに相談してみることも大切です。
適応障害をもつ人が利用できる支援機関
適応障害をもつ人が相談できる支援機関も複数あり、主に以下の7選になります。
①就労移行支援事業所
②精神保健福祉センター
③地域障害者職業センター
④障害者就業・生活支援センター
⑤基幹相談支援センター
⑥ハローワーク(公共職業安定所)
⑦転職エージェント
これらの支援機関の中で、適応障害をもつ人に特にお勧めできるのは①となります。
「就労移行支援事業所」とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職のサポートをする支援機関です。
体調管理の方法や職場でのコミュニケーションの基礎スキルを始め、就職に必要な専門スキルなども学べます。
さらに就職活動でのアドバイスや就職後の職場定着支援も含め、総合的な就労支援を受けることが可能な点も大きなポイントです。
また、各相談先は機能が異なるため、それぞれ自分が利用したいサービスを行っているかどうかを確認した上で問い合わせてみることが大切です。
まとめ
今回は適応障害をもつ人が生活保護を受給する方法や手順について解説しました。
本記事で生活保護を受けるために必要な手順を把握できた後も「家族への迷惑」や「世間的には恥ずかしい」という思いにより、なかなか実行に移せない人が多いのも現状です。
しかし、決して恥ずかしいなどというものではなく、生活保護を受けることもまた、転職や社会復帰を果たすために重要かつ必要な保障と捉えられて問題ありません。
もちろん、そのような後ろめたさから脱することができた場合でも1人だけで行動に移すことが困難な人も多いはずです。
だからこそ、最後の方に紹介した支援機関に相談して適切なサポートを受けることも大切なのです。
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