近年うつ病の治療や予防に音楽が活用される場面が多いです。音楽によって気分が高まったり感動したりする事があるかと思いますが、行動を落ち着かせる面としても音楽は評価されており、実際に音楽療法によってうつ症状が軽減されているデータもあります。
しかしながら、その音楽療法として使う音楽を誤るとかえって症状が悪化します。どのような音楽だと思いますか?
それは自分の気分と同調しない音楽です。人は気分に同調した音楽を聴くと楽しいと感じたり心を揺さぶられます。しかし逆に気分に同調しない音楽はどんどん嫌な気分にさせます。特にうつ症状がある程気分が落ち込んでいる人は元気が出るような明るく楽しいJ-POPを聴く事は苦痛です。「元気な曲だから落ち込んでいる時にいいんじゃないの?」と思う人が多いかもしれませんが、それは逆です。
例えば自分が失恋した時に友達から恋人とののろけ話を聞かされると「今そんな気分じゃないからやめてよ!」と言いたくなりますよね?
そういった心理的作用が音楽でも働きます。気分が高まっている時程明るく楽しい音楽、逆に落ち込んでいる時程音数の少ない静かな曲がいいと言われています。うつ症状が特にひどい時は音楽を聴く自体が苦痛となります。
お分かりでしょうか?音楽は心の健康バロメータでもあります。心の状態によって聴ける音楽もそれに伴ってきますので、自分の今の状態を客観的に見るひとつの指標となります。
もし普段は明るい曲が大好きなのに暗いピアノ曲ばかり聴くようになっていたら、「今の自分落ち込んでいるかも…。」と今の状態を受け入れてあげられるかもしれません。
これまでの記事でも取り上げましたように、うつ病は自分ではなかなか気づけないものです。聴きたいジャンルに応じて今の自分の気分を判断してみるのはひとつの指標としておすすめですよ。
ちなみに余談ですが、聴く音楽ジャンルの趣向から来る懸念を取り上げた記事があります。
オーストラリアの研究者がうつ病にかかりやすい若者は
ヘヴィ・メタルを習慣的に聴く傾向があると発表
http://ro69.jp/news/detail/59294
ここでは「ヘヴィ・メタルを聴く人=うつになりやすい」としてますが、これは「ゲームをする人=キレやすい」と同じ短絡的な結論だと思います。
あくまでそういう人もいるというだけの事でその現象だけを見て全体を決めつけてしまうのは早計ではないかと…デス・メタル好きな人が人殺しをしたりゴア・メタル好きな人が人に生理的嫌悪感を与える行動はしないですよね。
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