ここ近年でよく聞かれるようになった「適応障害」という言葉に興味や関心を持ち始める人が増える一方、その症状で悩まされている人も多いのが現状です。
本記事では適応障害の症状や原因などについて解説しながら、休職や退職する方法と流れについて紹介します。
目次
適応障害の症状や原因、種類について
適応障害とは複数ある精神障害の1つであり「環境や状態に適応できないこと」と定義されています。
それにより「社会的機能が著しく障害されている状態」ということです。
そして原因としては「仕事や人間関係に対するストレス」が原因で発症してしまうのです。
さらに、適応障害の特徴は「精神面」「行動面」「体調面」と3つの種類に分けられています。
適応障害をもつ人が休職や退職を実行する前に知っておくべきこと
適応障害の症状による悩みなどを理由に休職や退職へ踏み切ることも大切なことです。
しかし、その方法を知る前および実行に移す前に知っておかなければならない重要なことも複数にわたってあります。
適応障害の人が退職前に確認しておくべきポイント5選
まずは、適応障害の人が退職前に確認しておくべきポイントを5選に分けて紹介します。
①医師の診断および診断書をもらう
②退職の前に休職も検討してみる
③自分の業務内容や仕事量について相談してみる
④部署の異動や転勤についても相談してみる
⑤職場環境が原因で相談できない場合の対策法も知っておく
まずは①を実行することで「自分が本当に適応障害なのか否か」を医師に診断してもらう必要があります。
専門の医師に相談することで自分の症状が診断されるため、今後の具体的な対処方法が見えてきます。
診断先は心療内科や精神科となりますが、直接行くことに抵抗を感じてしまう人はカウンセラーや支援機関の担当者に相談することもお勧めです。
また、休職を申し出るにあたり、上司から「診断書の提出」を求められるケースも多いですが、必ずしも診断書を会社に提出する必要はありません。
診断書は提出することによって「働くことが難しい事情を理解してもらうための手段」と捉えるべきであり、提出することで休職や退職の手続きがスムーズに進行される可能性があります。
しかし、診断書を作成してもらうには担当医に申し出てから通常2週間程度かかることが多いです。
そのため、依頼することを決めた場合は早めに実行していくことがお勧めです。
退職の前に休職の段階を踏むことの大切さやメリット
いきなり退職に踏み切る前に②の段階を検討してみることも大切です。
実際に適応障害の診断が出されていない場合でも心身の辛さで出社できないなどの重い症状がある場合もあるでしょう。
その場合、まずはひとまず休暇を取得して休んでみるのも良いです。
中には「自分は休まなくて大丈夫」と思う人や「休職せずに仕事を続ける方法」を検討する人も多いです。
しかし適応障害を治療するためには、まずは原因から離れることが大切です。
また、会社内での人手などによる事情で休職が難しい場合には、長期の有給休暇を出してみる方法も検討してみるのも良いでしょう。
いきなり退職ではなく休職することにより、以下のようなメリットを得られます。
①職場によっては給料の一部を受け取り続けることが可能
②休養に専念できる
③退職か復帰について、ゆっくり考えられる
④休職者限定の支援を利用できる
⑤休職中に転職活動を行うことも可能
退職という重大な決断は焦って行わず、療養を行いながら、じっくり考えることも大切です。
近年では休職者限定の支援として、適応障害などの精神疾患が原因で休職している人を対象としたリワーク・プログラムなどもあるため、このような専門機関を利用してみるのも良いでしょう。
自分の業務内容や仕事量、異動などについて相談してみる
退職や休職を思い立った中で実際に踏み切る前に、まずはご自身の業務内容や仕事量、または部署異動や転勤などについて上司に相談してみることも大切です。
もしも仕事や職場が原因で適応障害になった場合、担当業務の内容や量が自分に合っていない可能性が高いです。
その場合には自分よ担当業務を変えることや、これまでよりも業務量を減らすことによって、現在の症状を軽減させられる可能性もあります。
とはいえ、会社や職場側の事情により、自分から希望を出してもすぐに対応してもらうのが難しいことの方が多いでしょう。
そのような場合でも、以下のような働き方に変更させてもらう方法もあります。
①時短勤務
②リモートワーク
③勤務日減
これらの働き方を実現するためには、専門医による診断書も提示しながら相談することで上司や担当者との話も通じやすくなって、自分の希望が通りやすくなるケースもあります。
また、④のように自身の配置転換や転勤の希望を申し出ることも1つの選択肢に含まれます。
現在の職場での人間関係や通勤時間などが適応障害の原因である可能性が高い場合は、周りの環境を変えることで症状の改善にもつながります。
職場環境が原因で相談できない場合の対策法とは
今の職場がブラック企業などという理由で、相談したくてもできない人も多いのではないでしょうか?
そのような場合に相談できる専門機関を知っておくことも大切です。
厚生労働省の委託事業である「労働条件相談ほっとライン」を始め「法テラス」のような法的トラブルを解決するための機関もあります。
また、ここ近年ではモームリなどのような「退職代行サービス」もありますが、いきなりこのような機関に相談することはお勧めしません。
あくまでも、自分の休職や勤務変更などの相談がどうしても通らない場合の最終的な手段と捉えるべきでしょう。
さらに退職や上記の機関に相談する前に、在籍している会社の就業契約や雇用条件を確認しておくことも大切なポイントです。
もしも就業契約や雇用条件と実態が異なる場合、労働者は会社に対して就業契約や雇用条件のとおりにするように要求できます。
例えば以下のようなケースが考えられます。
①契約条件よりも労働時間が極端に長い
②契約時に提示された労働環境と実際の環境が大きく異なる
③労働基準法第15条第2項の規定により、これらを理由に契約を解除することも可能
自分の現在の経済状況も把握しておく
退職前および休職前には、ご自身の現在の経済的な状況を確認しておくことも欠かしてはいけません。
当然ながら退職後は無収入となるため、ある程度の貯蓄が必要となります。
実家住まいで家族と同居している場合は、家庭内で今後の経済面のことを話し合っておくことが鉄則となります。
たた、職場と勤続年数によっては退職金が支給される場合もあるため、こちらも事前に確認しておかなければなりません。
退職のメリットとデメリット、注意点について
退職を実行する上で、退職のメリットとデメリット、さらに注意点についても把握しておく必要があります。
退職のメリットには「休養に専念できること」や「合わない職場環境から離脱できること」を始め、療養後には心機一転して自分に合った職場を探すことも可能となります。
一方、退職のデメリットには「職歴にブランク(空白期間)ができること」や「これまで得られた給与がなくなること」が挙げられます。
注意点としては仕事や職場が原因で適応障害を発症した場合、すぐに退職したい思いに悩まされます。
しかし、気持ちが安定していない状態の時に焦って(早まって)退職してしまうことも禁物です。
そのため、まずは休職での療養から始めることをお勧めします。
そのような休職期間中に本当に退職するかどうかについて、じっくりと検討してみた方が良い場合もあります。
適応障害のある人が退職する際の流れ
適応障害のある人が退職するための流れや手順な以下の通りです。
①上司に退職の意思を伝える
②在籍する職場の規則に従って申請する
①での伝え方ですが、退職は基本的には1ヶ月前に伝えることが常識とされていますが、適応障害を始めとした症状にかかった場合(医師から診断された場合)には1ヶ月以上も働き続けられないケースもあります。
そのような突発的な状況に陥ることもありますが、それでも2週間前に申し出ることが大切です。
そして②の段階でも、在籍する職場のルールに従って退職届を作成および提出して、申請しなければなりません。
※退職届に書く退職事由や退職理由は「一身上の都合」で問題なく、適応障害やその原因について記載する必要はありません。
しかし、自分が職場の規則に従って手順を踏んだ場合でも、退職届の受理を拒まれたり引き留めを断りづらかったりという状況が生じるケースも少なくありません。
そのような場合には「法テラス」や「労働条件相談ほっとライン」などの専門機関に相談してみましょう。
適応障害のある人が退職後にすべき5つの対応
無事に退職まで実行できた場合でも、それで終わりというわけではありません。
退職後にも行なっておかなければならない対応もあります。
ここでは、退職後に行うべき対応を5つに分けて紹介します。
自分が退職したことに対して後悔しないこと
退職した直後には、自分が行った行動(退職)に対する後悔や罪悪感、あるいは嫌悪感に襲われることも少なくありません。
自分に合わない環境(会社や職場)から離れることは決して逃げではない上、逃げたとしても問題ないのです。
そのため、自分の能力や人格に問題があったなどとはと考えず「環境が合わなかった」や「誰しも合わない環境はある」と割り切ってしまうことが大切です。
さらに、退職がキッカケで新しい環境で再スタートを切ったことで人生が好転したという人も多くいます。
健康保険や年金の切り替え手続きを行う
退職後には、最寄りの区役所などに行って「健康保険と年金の切り替え手続き」を行う必要もあります。
※国民健康保険への加入と国民年金への切り替えは、お住まいの自治体の役所で行えます。
退職日の翌日から14日以内のため、心身の調子を考慮しながら余裕をもって手続きを進めていくべきです。
また、手続きの際には年金手帳や離職証明書などの書類が必要になるため、忘れずに持参しましょう。
失業給付の受給手続きをする
退職してから次の職場に就職するまでに期間が空く場合には、失業給付の受給手続きも行わなければなりません。
会社をやめると収入がなくなることでの不安に襲われがちですが、ハローワークで申請すると一定期間失業保険を受け取れます。
しかし、退職理由が自己都合か会社都合によって、受け取れるまでの期間が異なるため、注意が必要です。
また、失業保険は求職中の人に支給される手当であるため、決められた回数の求職活動をしなければなりません。
自分に合った仕事や職場を探し始める
退職後に転職活動を始めた場合、その仕事や職場が自分に合うかどうかを十分に検討した上で、就職先を考えなければいけません。
新たな職場で適応障害を再発しないようにするためには、給与や待遇よりも「自分の症状に合った仕事や職場環境」で選ぶ必要があります。
以下に挙げる職場環境ではストレスがかかりにくいため、適応障害をもつ人にもお勧めです。
①無理をするような仕事ではない
②日課の決まっているような仕事
③仕事量が多くない
④人間関係などが複雑ではない
⑤無理に職場に馴染まなくてよい
適応障害の人に合う仕事や職場環境については、以下の記事で詳細に紹介しています。
まとめ
今回は適応障害の症状を紹介しながら、休職や退職する方法と流れについて紹介しました。
退職するだけでも複数の手順を踏まなければならないため、どうしても「退職がゴール」と考えがちですが、実際には休職や退職は症状を改善させるための通過点でしかありません。
そのため、最後に紹介した「退職後に行うべき対応」も視野に入れながら退職やその後の社会復帰についても把握しておく必要もあります。
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