ここ近年で定着し始めてきた「発達障害」という用語が原因で、仕事や日常生活における聴覚過敏に悩まされる人も増えています。
本記事では発達障害の特徴を紹介しながら、聴覚過敏との関連性および原因や対策について迫ります。
目次
発達障害の特徴とは
まずは発達障害をもつ人の特徴や、症状の種類について、簡単に紹介していきます。
発達障害をもつ人達の主な特徴として「仕事でのケアレスミスの多さ」や「仕事への集中力が切れやすい」「電話対応しながらメモを取ることが苦手」ということが挙げられます。
さらに「タスクやスケジュール管理が苦手であること」もまた、仕事や会社内での人間関係への悪影響へ繋がってしまっているケースもあります。
また、一口に発達障害と言っても、その種類も複数に分かれており、2024年現在では共に「ASD(自閉スペクトラム症)」「ADHD(注意欠如多動症」「LD•SLD(限局性学習症)」という形で分類されています。
発達障害と聴覚過敏の関連性について
発達障害をもつ人が聴覚過敏の症状に悩まされているケースも多いです。
ここでは2つの症状の関連性について解説します。
聴覚過敏の症状とは
聴覚過敏を抱える人は、自分の耳に入ってくる音の聴き取りに悩みを抱えており、そのような理由で疲労やストレスを感じやすいです。
さらに、そのような症状を感覚として無意識に生じている場合もあります。
自身では必要な内容を聞いて理解した上で友人や同僚とのコミュニケーションもきちんと取れているはずが、実際には「仕事などで集中力を持続できていないこと」や「人混みの中で疲れやすくなる」という症状が現れます。
これこそ、音を選別することを苦手とする脳が、不得意なことを実行するためにフル稼働していることによる疲労なのです。
聴覚過敏によるストレスの度合いも人それぞれでによって違っており、少し気になる程度の人と寝込むほど辛いまたは辛過ぎて眠りにもつけない人もいます。
聴覚過敏の症状や診断基準、治療についての研究も進められていますが、実際にはまだ判明していないことも多く、社会的認知もまだ充分に進んでいない状況です。
感覚過敏の種類について
感覚過敏は、主に嗅覚・聴覚・視覚・触覚・味覚の5種類に分類されています。
ここでは、先に解説した聴覚過敏を除く4種類の症状について解説していきます。
「嗅覚過敏」は匂いに対する感覚過敏であり、満員電車を始めとした人混みの中で生じる汗や香水の匂いなどに対して不快感を抱きます。
さらに酷い場合には、それらの匂いによって頭痛や吐き気を起こす人もいます。
「視覚過敏」は自分の目に入る(映る)刺激に対する感覚過敏であり、太陽や映像などから生じる”強すぎる光”に対して刺激を感じながら直視できなくなってしまいます。
「触覚過敏」は皮膚に触れる物に対する感覚過敏で、洋服の素材や質感などに対して過剰に反応してしまいます。
「味覚過敏」は味に対する感覚過敏であり、濃い味つけや食感などへの苦手意識を抱きやすくなります。
これらの上記4種類はあくまでも一例に過ぎず、簡単に分類しきれないこともあります。
さらに過敏における強弱も人によって大きな差や違いも生じています。
発達障害と聴覚過敏の関連性とは
発達障害は先天的な症状であり、常人がもつ「雑多な情報の中から自動的に必要なものだけを拾い出してくる機能」が思い通りに働いてくれないことが多いです。
そのような症状により、聞こえてくる情報や刺激の取捨選択を上手くできず、不要な音まですべて気になってしまう中で感覚過敏にかかってしまう人が多いのです。
ネットやSNSなどを始め、ただでさえ情報量が多い現代社会では、ひと昔前の時代以上に苦しめられているわけです。
ここでSNSを一例として挙げてみます。
ほぼ1対1で会話することが多いX(Twitter)では何の支障もなく連絡等のやり取りをこなせる一方で、グループ会話がメインとなるLINE等ではグループ内での会話の多さやスピードについていけなくなり、自身から何も話せないことを始め、内容の把握すら困難となってしまうのです。
このような症状は学校や会社など多くの人間が集まる中でも同じであり、授業や会議でしっかり聞いていたはずの内容も覚えられていないという状態に陥りやすいです。
聴覚過敏をもつ人の悩みや困り事とは
聴覚過敏をもつ人が実生活を送る中で困っていることを挙げていきます。
先にも解説した「人混みの中での疲労や体調不良」を始め、話し相手からの話を上手く聞き取れず会話すらままならないことも多いです。
一方、自室など1人で過ごせている中でも時計の秒針や工事中の騒音などによる音への苦手意識も高いです。
しかし社会で生きる以上、このような人混みや音などを完全に消去することは不可能です。
そのため、疲労などで自身の限界がくる前に、「自身のストレス対象の把握」をした上で、それらに対する対策を見つけておくことが重要です。
発達障害をもつ人の聴覚過敏への対策および支援機関について
発達障害をもつ人の聴覚過敏への対策について解説しながら、相談できる支援機関も紹介していきます。
聴覚過敏への対策6選
聴覚過敏に対して、自身でも可能な対策を6選に絞って紹介しますが、主に以下の通りとなります。
①暮らしの中で聞こえる音を環境的に減らす
②外で活動する時は”目安の時間”を決めておく
③食事や睡眠などの生活面を見直す
④便利アイテムの活用
⑤周囲の人へ聴覚過敏であることを伝える
⑥周囲への配慮も求める
①では「テレビを長時間つけないこと」や「窓を閉めて周囲の音を塞ぐ」
②でも「帰宅時間を決めておく」など、自分1人だけでも比較的簡単に実行することが可能です。
③では時間調整などで充分な睡眠時間を確保することによって聴覚過敏の症状を緩和できる場合があります。
さらに食事面に気をつけることも重要となりますが、1人暮らしで通勤や通学もこなしている人の場合、毎日料理する時間や気力を持続することは常人でも難しくなります。
そのような場合にはサプリメントなども併用することで「ビタミンB群の継続的な摂取」を継続していく方法もあります。
また、④でもサプリメントとは全く異なる便利アイテムを活用することで周囲の騒音を防ぐことも可能です。
住まいの防音性に問題がある場合にはイヤホンやヘッドホンを装着した上で好きな音楽や動画などを堪能しながら聴覚過敏の軽減に加えて、ストレス解消にもつながります。
しかし、①〜④の全てを実行できても聴覚過敏の症状を完全に治せるわけでもなく、⑤や⑥のように周囲の人達からのサポートを受けることも大切です。
その第一歩が友人や同僚に対して「自分の聴覚過敏を周囲に伝えること」となりますが、なかなか言い出せない人も多いことが実情です。
しかし現代では「聴覚過敏保護用シンボルマーク」を利用して伝えることも可能であり、このマークは誰でも無償で印刷した上で利用することができることも大きな利点です。
このマークを有効的に利用するポイントとしては「鞄にぶら下げながら移動すること」や「自分のデスク等に貼っておく」などが挙げられます。
ただ、シールの利用はあくまでも「伝えるための手段やキッカケの1つ」であることも忘れてはいけません。
特に仕事の場合では自身の聴覚過敏の症状が原因で支障が出やすく、上司や同僚に迷惑をかける事態を免れることは困難と言えるでしょう。そのため、シールをさりげなく見せながら(わざとらしくないように)自分から上司や会社側に症状を説明した上で理解やサポートを求めてみることが大切です。
「合理的配慮」を求める方法
先の⑤や⑥の応用として「合理的配慮」を求める方法もあります。
「合理的配慮」とは、会社で働く一人ひとりの特徴や場面に応じて、就労の上で発生する困難さを取り除くための調整のことを言います。
しかし、合理的配慮を受けるためには「障害者手帳の有無」が重要となり、雇用形態などを問わず「会社や社会の中で困難さを抱える全ての人たち」であると理解してもらえることも大きなポイントとなります。
支援機関からの援助を受けるためには
発達障害や聴覚過敏をもつ人も支援機関からの援助を受けることが可能です。
しかし、いきなり訪問しただけで受けられるわけでなく、まずは精神科・心療内科などの医療機関での受診が必要となります。
さらに担当医から「診断書」を作成してもらわなければいけません。
また、医療機関での受診は単に診断書や支援機関のサポートを受けるためだけでなく「自分が聴覚過敏を患った原因の究明」にも役立ちます。
人によっては精神科などでの受診だけで症状の軽減や改善につながるケースもあります。
少なくとも、自己判断だけで支援機関の利用や症状をすることこそが最も危険なことと言えます。
聴覚過敏や発達障害の人が利用できる支援機関・サービスについて
医療機関での受診でも症状が改善されない場合にこそ、県や市により運営されている支援機関やサービスを受けることが必要とされます。
主として、就労移行支援や自立訓練(生活訓練)などでリワーク支援を提供している施設へ相談するという方法があります。
そのような施設では”安定した日中活動のリハビリから仕事に必要なスキルの習得”といった社会生活から仕事のための支援・訓練を行なっている場所も多く、実際に受けていく中で改善または軽減できたケースも多かったそうです。
そして、症状の改善が自他ともに認められてからはハローワークで開催されている職業訓練に出席するなどして、社会復帰へ踏み出すことも忘れてはいけません。
ちなみに、上記でご紹介した各施設への相談を受ける場合、診断書や障害者手帳の提示は不要なことが多いです。
※本格的に利用する時には必要となることもあります。
さらに、これらの多くが無料で利用できる点も大きな利点にもなっていますが、自身がもつ障害の程度によっては実費が必要になることもありますので、その辺は事前に各施設へ問い合わせておくことも大切です。
まとめ
今回は発達障害をもつ人が悩む聴覚過敏の症状や対策方法について解説しました。
また、支援機関についても紹介したため、少しでも皆様のお役に立てたのであれば幸いです。
「発達障害」や「聴覚過敏」という言葉や症状も現代社会で少しずつ認知され始めていますが、それでも周囲からの理解を得られずに悩む人もまだまだ多いことが現状です。
そのような辛い思いや症状で悩んでいる人ほど自己判断で終わらせてしまうことなく、医療機関や支援機関などによる診断やサポートを受けてみることが大切です。
始めは不安に感じる気持ちも分かりますが、まずは周囲からの理解やサポートを得ることが最も重要とされているのです。
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