統合失調症をもつ人の中には、ご自身に向いている仕事を見つけられずに悩む人も多いです。
本記事では統合失調症の症状などについて解説しながら、向いている仕事や職業に加えて、効率的に仕事や勤務先を探す方法について紹介します。
目次
統合失調症の症状や種類、経過について
「統合失調症」とは自分の気持ちや考え、行動などを統合する力が落ちてしまう精神疾患です。症状も幻覚や妄想を始め、感情鈍麻や意欲減退など種類や経過などによって様々です。
種類は大きく分けて「陽性症状 」と「陰性症状 」そして「認知機能障害 」の3種類があります。さらに、4種類もの経過もあり「前駆期」と「急性期」「休息期」「回復期」の4つに分けられます。
それでも統合失調症での症状は早期に治療を開始することで病気の回復が早めることが可能であり、症状も軽度で済むとも言われています。そのため、出来るだけ早く専門医へ相談することが大切です。
→「統合失調症の人への復職・転職ポイント | 相談できる専門機関も紹介」の記事へ
統合失調症をもつ人が抱える仕事への悩みとは
統合失調症の人が抱える悩みも、1人1人によって異なっておりますが、大きく分けて「陽性症状」と「陰性症状」の2つに分類されます。
さらにその2つの中から、様々な悩みにも分類されています。
「陽性症状」で抱えやすい悩みとは
陽性症状で抱えやすい悩みとは主に以下の2つが挙げられます。
①周りに誰もいないのに悪口を言われている気がする
②会話に一貫性がなくなる
①の症状にかかると、妄想によって自分の身の周りや社会、現実世界で全く起きていないことを確信するようになってしまいます。
その影響で思考が混乱することによって②の症状に繋がり、自分が人に対して何を話しているのかさえも分からない状態となってしまうのです。
つまり、陽性症状における①と②は完全に別々というわけでなく、連鎖するように起こしてしまうことが多いのです。
さらに、これらの症状は改善された後も残遺してしまう可能性もあるため、注意が必要です。
しかし残遺している状態であっても、自身と周囲で症状をしっかり理解し合えれば会社や企業への就職および就業も充分に可能とも言えます。
「陰性症状」で抱えやすい悩みとは
一方、陰性症状で抱えやすい悩みには、主に以下の3つが挙げられます。
①疲れやすい
②やる気が起こらない
③集中できない
①では体力を消耗しやすいために疲労感を強く抱きやすくなるため、朝の起床だけでも辛くなることで遅刻や欠勤が増えてしまいがちです。
さらに陰性症状では「認知機能障害」による影響も受けやすいため、②や③の状態に陥り集中すること自体が難しくなるケースもあります。
仕事中に集中できないことで注意力の欠如から同じミスを繰り返してしまうことを始め、優先順位をつけることも苦手なため、効率的に仕事を行えない結果、同じ仕事でも完了までにかかる時間も同僚たち以上にかかってしまいるがちです。
そのような状況や結果が原因で、同僚たちからの誤解を招く上、人間関係の悪化にまでつながりかねません。
統合失調症をもつ人が及ぼしやすい仕事への影響とは
ここでは上記からの応用やつながりも含めた上で、統合失調症をもつ人が及ぼしやすい「仕事への影響」について解説します。
陽性症状の人が仕事に与える影響
陽性症状をもつ人は「幻覚」や「妄想」など、実際にいない人や現実世界では起きていないことを感じてしまうことが原因で、仕事中でも周囲からの自分への視線や自分の評価が強く気になってしまいます。
上記での「完了までの時間がかかってしまうこと」に加えて「同じ作業ばかり繰り返してしまうこと」も多いです。
陰性症状の人が仕事に与える影響
陰性症状の人は「集中力の低下」などが原因で、仕事に対する意欲が著しく欠如してしまいやすいです。
仕事に対するやる気も出ないことで作業効率が悪くなり、完了までの時間がかかってしまいます。
さらに認知機能障害が仕事に与える影響として「記憶力の低下」も顕著に挙げられており、その影響で新しい仕事や作業内容を覚えることが困難である点も深刻な悩みです。
統合失調症が原因で及ぼした影響の結果とは
陽性症状でも陰性症状でも、上記の及ぼした影響の結果、上司や同僚からの評価を大きく下げられてしまうこともあります。
そのような厳しい評価の結果、職場内での人間関係の悪化だけでなく、最悪な場合は左遷や解雇に繋がってしまう恐れもあります。
また、自分だけが上手くできない辛さや罪悪感などに悩まされ続けた結果、自身から退職する道を選んだ人も少なくはありません。
統合失調症の人に向いている仕事や雇用形態
統合失調症をもつ人に向いている仕事や雇用形態について紹介します。
統合失調症の人にお勧めできる職場環境とは
まずは、仕事や職種の前に統合失調症の人にお勧めできる職場環境の特徴を挙げておきます。
①就業時間が規則的な仕事や会社
②プレッシャーが少ない上、マイペースに作業できる職種
③周囲からのサポートも受けやすい職場
④テレワークやリモートワークなど在宅で働くことも許可されている職場
これらの環境では臨機応変な対応が求められる場面が少ない上、周囲からの目線や評価を気にせずに働きやすい点が大きなメリットとなります。
特に現在ではコロナ禍による影響で④の働き方を実行している会社も増えており、職場にまで行かず、自宅で仕事をできる点が大きなポイントです。
通勤中の満員電車を避けられる上、統合失調症の症状の1つである遅刻に対する不安や心配などの気持ちも大幅に減らせるわけです。
統合失調症の人にお勧めできる主な仕事を紹介
統合失調症の人にお勧めの仕事を複数にわたり挙げると、おおまかに以下の3種類です。
①事務職
②商品管理
③軽作業や製造業
まず①では書類作成やデータ入力がメインの仕事内容になる上、ほぼ完全なオフィスワークになるため、臨機応変な対応を求められる場面が少なめです。
さらに仕事内容もパターン化している点も大きく、妄想や幻聴などの影響を受けにくい点も大きなメリットと言えます。
②も事務職と仕事内容は異なるものの、業務内容も主に「検品」と「ピッキング」という形でパターン化されています。
「検品」の仕事では、商品の規格や性能、品質、数などを検査します。
「ピッキング」では、伝票や発注書を確認しながら注文された商品を保管場所から集める仕事になります。
事務職よりも集中力を求められる場面もありますが、それでも自分のペースで仕事を進めていける点が大きなポイントとも言えます。
③は主に工場での業務となりますが、どちらもマニュアルが完備されていること、さらにルーティンワークでもあるため、確実に作業を行いやすい点が非常に大きなポイントと言えます。
軽作業と製造業では業務内容がそれぞれ異なっています。
それでも、どちらもライン作業という共通点があり、一通りの業務の流れを覚えられた後からは作業を黙々とこなしていくことが多いため、他者とコミュニケーションを求められる場面が少ないの点も働きやすい仕事と言えます。
統合失調症の人にはデザイン業もお勧め
上記で挙げた仕事以外では「イラストレーター」や「Webデザイナー」などの仕事に就くこともお勧めです。
「イラストレーター」は、本の表紙や広告、ポスターなどのイラストを描く仕事のため、絵画や制作などを趣味で続けてきた人には最適な仕事と言えるでしょう。
一方「Webデザイナー」ではWebサイトなどパソコンを使ってデザインを行います。
そのため、パソコンや専用ソフト等の使い方における知識や技量が問われます。
これらの仕事はセンスや知識が必要ではありますが、パソコンで作業することがメインなため、自分にとって負担の少ない仕事環境に調整しやすい点がメリットです。
こちらの仕事も現代ではテレワークや在宅ワークとして働ける会社や環境も充実しているため、通勤や人間関係などに対する悩みや不安を大幅に減らせます。
フリーの配達業も副業としてお勧め
上記までは正社員や派遣として入社する前提で解説してきましたが、契約タイプの配送業もお勧めです。
その代表的な例が「ポスティング作業」であり、徒歩や自転車などで移動しながらチラシなどを決められた範囲や地域内のポストに投函する仕事です。
自分1人で担当エリアにポスティングを行なっていくことを業務としているため、人間関係における悩みがありません。
さらに、自分のペースで働けることも可能のため、その日の体調などに応じて働くスピードやペースを変えることが可能な点も大きなメリットと言えます。
また、コロナ禍の影響で一時期は「ウーバーイーツ」のような配送業も浸透しており、このようにフリーで行える配送業も視野に入れるのも良いでしょう。
しかし、これらの配送業は契約性の仕事であることに加えて「届けた枚数や件数による成果報酬」となるため、このような仕事だけで生計を立てていくことは難しいでしょう。
そのため、あくまでもフリーの配送業は副業として行う方針で始めるべきと言えます。
統合失調症の人に向いていない仕事とは
せっかくなので、ここからは真逆に「統合失調症の方に向いていない仕事や環境」も紹介しておきます。
向かない仕事や環境の特徴としては以下の5つとなります。
①自発的に意思決定や行動を求められる。
②1つの仕事や場面の中だけでも様々な選択を迫られる。
③体調を崩してしまう程の激務や仕事量を強いられる。
④対人関係での心理的な負担やストレスが大きい職場。
⑤頻繁に臨機応変な対応を求められる。
これら5つの特徴に当てはまる仕事としては主に「医療関係」や「コンサルタント」さらに「接客業」を挙げられます。
医療関係では医師や看護師、救急救命士などがあります。
これらの仕事は業務中に突発的なトラブルが頻繁に起きることが多く、それ故に臨機応変な対応や行動に加えて、その場での正確な判断を迫られる場面も多いのです。
また、患者の命に関わる仕事でもあるため、そのことに対する不安や責任感から大きなストレスへ繋がってしまうこともあります。
さらにシフト制勤務により勤務時間が不規則となり、それが原因で「症状の悪化」に繋がることも少なくはありません。
コンサルタントでは、依頼者の相談を受けて課題を見つけたり解決策を提案する仕事です。
しかし、依頼者の言動や感情を読みながら働くことは統合失調症の人にとっては大きなストレス源となってしまいます。
そのような強いストレスや疲労感から体調を崩してしまい、そこから二次障害にまで発展してしまう危険性もあります。
飲食店などを始めとした接客業も向いていない仕事に入っており、接客業では常に素早い対応が求められる上、相手の要求に対しても臨機応変に応えられる能力まで求められます。
さらにお客から強いクレームを受けることも少なくはありません。
対人関係での仕事は体力面でも精神面でも強い負担をかけられてしまうため、そこから症状の悪化につながってしまうケースもあります。
統合失調症の人が仕事を探すための就労支援機関を紹介
統合失調症をもつ人にお勧めできる就労支援機関も大まかに紹介しておきます。
①障害者就業・生活支援センター
②障害者就業・生活支援センター
③地域障害者職業センター
④ハローワーク
⑤転職エージェント
仕事探しや求人へ応募したいと思っても、どの機関に相談すれば良いのか分からないまま立ち止まってしまう人も多いのが現状と言えます。
上記に挙げた5つの機関においても、受けられるサポートやサービス内容がそれぞれ異なっているため、自分に目的やペースに合った機関やサービスを利用することが大切です。
さらに、ここ近年では就労移行支援や自立訓練(生活訓練)などによるリワーク支援を提供している施設も増えているため、この辺も視野に入れた上で相談しに行くこともお勧めです。
→「統合失調症の人への復職・転職ポイント | 相談できる専門機関も紹介」
まとめ
今回は統合失調症の症状や種類、経過などの解説から始まり、向いている仕事や職場環境についても紹介してみました。
本記事で紹介した仕事や環境などを参考に、ご自身に合った会社や環境、働き方などを見つけていただけると幸いです。
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